山岳ガイド 佐藤勇介のブログです。

calendar FrontPage/2014.06

Top / FrontPage / 2014.06

<< 2014.6 >>
[FrontPage]
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

2014/6/17 (火)

谷川岳縦走 三国峠~平標山~谷川岳


ハルセミの声がブナの森いっぱいに満ち溢れていた。

古い峠道は歩き易く、息を切らすことなく峠へ導いてくれた。

峠に建つ神社の鳥居は、3月に来たときは頭をわずかにのぞかせるだけであったが、
今日は当然のことながら3mほどの高さがあって、改めて冬の積雪の多さに驚かされた。

essential-line

三国山を越えると初めてこれから歩く尾根道と明日縦走する主稜線を一望することができた。

目の前の山は若葉に覆われ青々としているが、奥の稜線はまだ雪が解けたばかりのようで茶色味がかっている。

essential-line

初夏の厳しい日差しを受けながら大源太山を越えたあたりから、急に青空はなくなっていつしか腕に冷たいものが当たり始めた。

少し歩を早めてなんとか山小屋へたどり着くと雨は本降りとなった。

夕立は一時のもので再び太陽が姿を現すと仙ノ倉山の西に延びる尾根に虹が孤を描いた。


平日の小屋は混み合うことはなく、この辺りの山々を愛する人たちが集っているようでおのずと話も弾んでいた。

essential-line

長い一日の始まり。

まだ夜が明けぬうちに握り飯をほおばって早立ちとする。

外は存外寒くはなく、ベンチで仙ノ倉山と朝焼けを眺めながら飲むコーヒーは格別であった。

essential-line

平標山と仙ノ倉山の鞍部にはこの辺りで一番大きなお花畑が広がっている。

朝露が朝日を映してきらめいている。

月は名残を惜しむように独り空の高いところで光を残していた。

essential-line

咲き始めのハクサンイチゲがあたりを覆っていた。

朝の光は優しく風も涼やか。

essential-line

仙ノ倉へと続く道は広く、どこか東北の山を思わせる。

でも穏やかな道はここまで、その先は激しいアップダウンが待ち構えている。

essential-line

essential-line

essential-line

大きく下ってエビス大黒の頭へ向かう。

振り返れば仙ノ倉山が大きい。

essential-line

仙ノ倉山の北尾根が優美な曲線を描いて誘っている。

いつか雪の残るころにあの尾根を歩こうと心にきめた。

essential-line

赤谷川本谷の源頭には多くの雪渓が残っていた。

稜線近くまで傾斜がゆるく大らかな沢だ。

雪渓の下には険しいゴルジュや大滝が秘められているのだろう。

essential-line

万太郎山へたどり着く手前にも大きなお花畑があって風景に彩りを添えている。

昼の太陽に負けじと白く輝いている。

essential-line

ハクサンコザクラが多くの花をつけて、まるでクリンソウのように咲いていた。

よほど栄養条件がよく環境に恵まれているのだろう。
この岩だらけで水分も少ないであろう稜線だというのに。

essential-line

オジカ沢の頭を越えれば肩の小屋は近い。

振り返ればいくつものピークの果てに仙ノ倉山が佇んでいた。


全ての頂上を巻くことなく忠実に稜線をたどるダイナミックな縦走路。

いつもはにぎわいを見せる谷川岳も今日は誰もいない。

理由はロープウェイが運休しているから。

おまけに肩の小屋の管理人も下山していない。

そのため、重い食糧と寝袋をはるばる担いできた。

しかしその代り貸切の山小屋と静寂の谷川岳を堪能することができた。


いつもは人の溢れる谷川岳。

ロープウェイは便利だが、谷川岳の魅力を半減させているのではないだろうか。

少なくとも今日の谷川はいつもよりよっぽど身近にあって私に多くのものをくれたのは間違いない。


下山に使った田尻尾根にはとても大きなブナの切り株があって目を見張るものがあったし、
途中に見えた西黒沢の青い水や大きな滝をこれまで見逃していたことを少し勿体なく思った。


コメント


パーマリンク

2014/6/3 (火)

早池峰剣ヶ峰


遠野の空はどこまでも澄んでいて広かった。


民話や伝承が息づくこの地には何か神秘的で不思議な空気が流れている。

それは昔ながらの街並みからであろうか、どこまでも続く青い森からか、

あるいは伸びやかな放牧地に吹く爽やかな風のせいあろうか。

essential-line

綺麗に整備された杉林の中に真っ直ぐに続く登山道。

清々しくも、どこか気が引き締まる思いがする。

essential-line

登山口から目指す頂を望むとき、その頂が思いのほか遠く高いことに驚くことが多い。

でもひとたび歩き出せば、歩をすすめるごとにその頂は思いのほか近づいているものだ。

気づけば目的地まではあとひと頑張り。

essential-line

ブナやダケカンバ、珍しいイチイの巨木、ヒバの純林の森を潜り抜けて
明るい花崗岩の岩塔から見下ろした森は波打つ大海のようにどこまでも広がっていた。

essential-line

道は次第に落ち葉積もる土道から積み重なる大きな岩へと変わっていった。

照りつける日差しは強く、初夏とは思えないほど高い気温に汗がしたたり落ちるが、
雪渓を渡ってきた風が時折吹き抜けて、私達に元気を取り戻させてくれる。

essential-line

人影まれなこの尾根にもひっそりと美しい花が咲いている。

そして、これから多くの花が次々と花開くのだろう。

essential-line

大岩を越えたり、ときに飛び跳ねて歩く。

変化に富んだ道は山歩きにほどよい刺激を与えてくれる。

essential-line

早池峰は花の山。

ナンブイヌナズナはこの山の固有種だ。

essential-line

ミヤマキンバイは白い岩肌によく映えて美しい。


これから次々と多くの花が咲く早池峰。

そして多くの人々が訪れることだろう。


遠野の山には確かに神様が宿っていた。


コメント


パーマリンク

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional