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2015/1/20 (火)
未登の氷柱?
今年に入ってからのとある日。
クライミングパートナーがとある山で見つけてきた氷柱。
もしかしたら未登の氷柱では?と足を運んでみた。
登山口より歩くこと3時間…。標高差1000mくらい登る。
ようやく見えた…が結構遠い。
写真中央左の白い点がその氷柱ですが、果たして見つけられますか?
肉眼ではもう少し大きく見えていました。
見当をつけて滝のあると思われる沢へと入る。
それなりに凍っていていい感じ。
登り詰めて途中から右へと登れば、目的の氷があるはずだったが…。
間に全く凍っていない涸滝が立ちはだかる。
かなり脆そうで、支点も取れそうにない…。
ここで敗退を決める。
ガックリ…。
周りにはもう少し発達すれば遊べそうな氷もあったけどまだ早い。
仕方がないので、行きがけに見つけた氷瀑を登る。
45mくらいで4級程度。
何とかお茶を濁して、長い帰路に着きましたとさ。
「 我らの目的は成功することではなく、失敗してもたゆまず進むことである。 」(ロバート・ルイス・スティーブンソン)
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2015/1/10 (土)
厳冬期 利尻岳南稜 その5
2015年1月1日の朝は寒気と強風と共に幕開けた。
雪洞を出た瞬間、強風にあおられ一瞬にして全身の衣服が凍りついた。
本峰への登りは確実性も大事だが、何よりも素早く登ることが必要だった。
そうしなければビレイヤーはなすすべなく凍りついてしまうからだ。
たどり着いた本峰は白い光に包まれていた。
時折、ガスの切れ間から力強い太陽の光が差し込んでいた。
厳冬の利尻岳の山頂を足下にして声をあげ喜びをあらわにする。
長居したいところだが、吹き付ける風が感傷にひたる暇を与えず、私達を追いやった。
視界の得られない中、一年ぶりに北峰の祠(今は氷の塊であるが)で写真を撮る。
右目は凍りついて開くことができない。
厳しい寒気と強風。肩に食い込む重荷。胸まで没する深雪。視界を奪う地吹雪。
それでも私達の心は満たされ、至福の時であったことは言うまでもない。
北峰からの下降は当然ながら最大限の慎重を期して行動した。
北稜から西側をのぞき込むと身もすくむような絶壁が流れるガスの向こう側に鋭く、深々と落ち込んでいるのであった。
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2015/1/9 (金)
厳冬期 利尻岳南稜 その4
バットレスのハイ松テラスでの目覚めは窮屈なものだった。
目覚めるとともにテントを圧迫する雪をぞくりと落ち込んだ岩壁の下へと落とすと中はわずかに広くなった。
テントの撤収は常にセルフビレイをとった状態で、何をするにも落としてしまわないように慎重に行わなければならないので、
いつもよりずいぶんと時間が掛かった。
朝一から早速登攀に取り掛かるが、昨日の残業の疲れもあってアックスを握る腕が重く調子が上がらない。
ランナウトが厳しく感じられたので、どうにかハーケンを一枚打ってロープを延ばす。
眼下には天を突く岩峰群がこれでもかと居並んでいる。
日の出と共に辺りを包んでいたガスもすっかりと晴れて今日は海岸線までくっきりと確認できる。
めずらしく良い方に天気が転んでくれたようだ。
次第に傾斜はゆるんで快調に高度を稼げるようになった。
昨夜積もった40センチほどの新雪も安定していて雪崩れる心配もないようだ。
青空に輝く頂稜が次第に近づくにつれて、いろいろな思いが熱く胸にこみ上げてくる。
昨年の苦労はもちろんのこと、越えてきた数知れぬ頂と岩壁。
今まで積み上げてきた山登りの経験や知識が凝縮されたルートを経ての山頂は目前だ。
逸る気持ちを抑えながら深い雪を掻き分け、駆け上がるように高みを目指す。
純白の雪に覆われた利尻岳南峰。
その頂に立つには更に1ピッチの登攀が必要だ。
左奥には昨年、影すらも見ることのできなかったローソク岩が聳え背後には礼文島の姿も見えている。
藪に張り付いたエビの尻尾を叩き落すことも慣れたもの。か細い枝に取った支点にももはや怯えることはなくなった。
狭い南峰の山頂から懸垂下降で基部に降り立ち、吹き溜まりに今宵の宿を掘っていると
目前に見えている本峰がアーベントロードに染まり始めた。
しばし作業の手を休めて本峰と南峰のコルで2014年最後の落陽を見送る。
振り返れば東の空に利尻富士の影が映しだされていた。
厳しい山における一時の安らぎ。
いつまでも褪せることなく、決して消えないほど深く刻まれる光景と記憶。
山の神が与えるものは決して試練だけではない。
次第に変わりゆく山肌の色合いが深みを増すと、今年最後の光は彼方の雲に吸い込まれていった。
つづく・・・
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2015/1/8 (木)
厳冬期・利尻岳南稜 その3
P1とP2のコルで迎えた4日目の朝はバットレスの登攀へ臨む緊張感からか、
気づけば同じことばかり考えてしまっていた。
朝食や準備の最中も心ここに有らずといった感じであった。
それにしても動作は緩慢で集中できず、なかなか出発の準備が整わない。
そういえば昨年、仲間がテント内で一酸化炭素中毒になってしまったことを思い出した。
あわててテントの入口を開放して換気を行う。
しばらくすると先ほどよりも意識がはっきりしてきた。
やはり一酸化炭素中毒の兆候が出てしまっていたようだ。
テント内で火器を使う場合は特に換気に気を付けなければならない。
多少は入口を開けて空気を入れていたつもりであったが、十分でなかったらしい。
シングルウォールテントのため、テントの内側に霜がびっしりついてしまっていて
通気性が失われていたのも一因であろう。
そんなこんなで出発は大幅に遅れてしまった。
P1は容易に越えられると思ったが、雪の付き方が十分ではなく草付きにアックスをきめながら登っていく。
昨夜降り積もった積雪は不安定で、踏み込むと雪崩れていく。
途中の支点はか細い灌木と凍った草付きに叩き込んだイボイノシシだけだ。
意外に時間がかかりバットレスの基部に着いたのはお昼近くとなってしまった。
雪と氷をまとったバットレスは人を寄せ付けぬオーラを放っていた。
コルからやや傾斜の緩いミックス壁をたどり掘り起こした細い灌木を何本か利用してビレイポイントを作る。
2ピッチ目は核心部のチムニーへと突入していく。
トップは空身で登り、セカンドを迎えたあとに一度懸垂し、ザックを背負って登りかえす作戦だ。
傾斜の強い岩に雪と氷がびっしりまとわりついていて、それをいちいち落としてホールドを発掘していく。
アックスの刺さる氷や草付きを求めて、幾度となく試みるがほとんど岩に弾き返されてしまう。
岩は節理に乏しく、十分な支点を構築することは適わずランナウトを強いられる。
チムニー内は5分おきにチリ雪崩が襲い、その間は何も見えず呼吸すらままならない。
決して落ちることは許されないので、慎重にじわじわと高度を上げる。
時間をいくらかけようと安全に通過するのが一番大事と自分に言い聞かせながらの忍耐の登攀である。
なんとかハイ松テラスへと這い上がりセカンドを迎えるが、重荷を背負ったセカンドは相当に苦戦を強いられたようだ。
懸垂して登りかえしている間に日は没して暗闇の中、重荷に喘ぐ拷問のようなユマーリングとなった。
テラスへと這い上がるとパートナーの凄まじい土木工事のおかげで何とかテントを張れるスペースが出来上がっていた。
端は空中に浮いている恐ろしげなテントに潜り込み、ロープで確保を取りながらの一夜となった。
夜中、チリ雪崩が壁とテントの間を埋めてテントを圧迫し、壁から叩き落されないか不安だった。
つづく・・・
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2015/1/7 (水)
厳冬期 利尻岳南稜 その2
晴れの予報は当然の如く裏切られて、外はホワイトアウトで吹雪いている。
昨夜の暴風はおさまったが視界のない中をじわじわと進む。
稜線は次第に複雑さを増して、アップダウンを繰り返す。
見通しがきかないため進むべき方向を定めるのが難しい。
わずかな視界が開けるのを待つのも風が強く忍耐が必要だ。
全身に霧氷がまとわりついてくる。
じっとしていれば蔵王のモンスターの出来上がりだ。
幾度か懸垂下降を交える。
1300mまで稼いだ高度はいつの間にか1100m台まで下がっている。
稜線はやせ細っていて尾根上を歩くことは適わない。
幾分、傾斜のゆるいマオヤニ沢側を一歩一歩着実に蹴り込みながらトラバースしていく。
視界が開けていたらぞっとするほどの傾斜であっただろう。
ひらけた場所に飛び出すと、どちらへ行くべきか分からない。
そんな時は焦らずに先が見えるまで待ち続ける。
時には偵察に行って先を窺う。
初めてたどるルートは地形のイメージがつかみづらく行動も慎重にならざるを得ない。
「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」
腰までのラッセルを繰り返し大槍の基部と思われるところでタイムアップ。
岩壁と吹き溜まりの隙間を利用して雪洞を掘る。
3日目の朝はまだ明けやらぬうちに雪洞を飛び出す。
急な雪壁にステップを刻みながら高度を稼ぐ。
軟雪で確保もままならないためここでは落ちない登りが求められる。
大槍の付近では進路を誤って3ピッチほどロープを出した。
稜線に抜ける所ではオーバーハングの藪雪壁となって重荷に苦しみ墜落したが、
灌木にとっていた支点で止まり事なきを得る。
一度、荷物をデポして稜線へ抜けた。
大槍の岩峰を巻いてなおも探り探り進むと仙法師稜との合流点と思しき場所に出た。
しばらく休憩して辺りを窺うと一瞬ガスが抜けてバットレスが目の前に現れた。
バットレスは圧倒的な障壁となって立ち塞がっていた。
P2へ登り、支点となる灌木を掘り起し、2ピッチ懸垂下降する。
ナイフリッジに積もった雪を落としながら馬乗りになって降りたり、
未だかつて経験したことのない動きを幾度となくさせられる。
ここは空中懸垂となる部分があって降りてロープを引き抜いたら登り返しはほぼ不可能。
バットレスを登り山頂を越える以外に下山する方法はない。
否が応にもプレッシャーがかかる。
P1を越えるべくロープを延ばすも先も見えず、時間もかかりそうだったので
ロープを固定してP2とP1の痩せたコルに幕を張った。
つづく・・・
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2015/1/6 (火)
厳冬期・利尻岳南稜 その1
それは不意に姿を現した。
海から緩やかに駆け上がる尾根は次第に荒々しさを増して、鋭く引き絞られた頂点へと導かれていく。
厳しさと共にある美しさ。
心奪われる神の山。
私の眼の前に惜しげもなく姿を現した利尻山。
それは初めて目にする全貌であった。
昨年の苦闘と蹉跌を越えて、今年もまたこの島へやってきた。
遂に見る隠れなき利尻の姿に興奮を抑えきれなかった。
南稜へ向かうには鬼脇よりヤムナイ沢に沿った林道をアプローチする。
利尻山南稜は利尻を形成する6本の尾根の中で最も長大でかつ美しい。
雪は膝下のラッセルで大きく潜ることはなく順調に距離を稼ぐことができた。
途中、広いヤムナイ沢をわたる場所で辺りが開けて、あらためて美しさに見とれる。
それと共に大槍から頂上へ向けての人を寄せ付けぬ激しい岩峰群に戦慄を覚えるのであった。
林道から南稜へ適当な尾根を選んで上がった。
深雪のラッセルを覚悟したが、存外雪が締まっていて苦も無く稜線へと導かれた。
雪の吹き溜まる東北稜とは積もり方が違うのか、あるいは今年の雪の量がすくないのだろうか。
稜線上は風に固められてアイゼンが欲しくなる雪面と膝まで埋まる柔らかい雪とが交互に現れて歩きづらかったが、
昨年の万歳ラッセルを思えば進むスピードは比べものにならない。
雪面に描かれたシュカブラが風の厳しさを伝えている。
日差しは強く汗ばむほどだが、ひとたび雲に隠れ風が吹けばあっという間に指の感覚が失われるほど体感気温の差が激しい。
歩みを進める度に大きさを増す大槍とバットレスに何度も足を止めて見惚れてしまう。
そのダイナミックな山容は北アルプスの裏剱の様相にも似るが、或いはそれ以上だろう。
これほどまでに鋭く屹立した岩峰群が真っ白な雪に覆われている不思議な光景。
高度差1200mを駆け上がり、本日の行動目標は十分達成できた。
風をよけるべく雪洞を掘ろうと試みるが、雪が少なくすぐに地面に突き当たってしまう。
やむなく尾根上にテントを張ってブロックを積み風よけとした。
夕方。ガスに覆われていた山は再び姿を現し、残照に浮かび上がる姿は凛として存在を主張していた。
陽が沈むと案の丈、暴風がテントを揺さぶり私達の眠りを妨げた。
つづく・・・
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2015/1/4 (日)
下山報告
利尻岳より無事下山いたしました!
本年もよろしくお願いします。
詳細は後程報告いたします。
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