FrontPage/2010-08-31
碧き水に酔う
日本海に水を注ぐ急流・黒部川。
その源流である上の廊下は沢登りを愛するものが
一度は訪れたいと願う場所である。
われわれ8名は8月26日、黒四ダムを出発した。
行程は以下の通りである。
1日目 扇沢=トロリーバス=黒四ダム…平の渡し(ボート)=奥黒部ヒュッテ
…熊の沢出合付近
2日目 熊の沢出合…口元ノタル…金作谷出合…岩苔小谷出合
3日目 岩苔小谷…立石奇岩…A沢出合…薬師沢小屋…赤木沢出合…兎平
4日目 兎平…五郎沢出合…黒部川源流…三俣山荘…モミ沢二俣下
5日目 モミ沢…湯俣川出合…ワリモ沢出合…湯俣山荘…高瀬ダム
強い日差しの中、ダムに沿った道を歩く。
初日ということで、荷物が重い。
私のザックには8名×4泊×2食(朝・夕)が入っている。
単純計算で一人なら64食食べられる量です。おそるべし…。
時折通り過ぎる遊覧船が恨めしい。
何とか出航時間に間に合った!
ボートは早いですね~。一瞬ですが…。
対岸に渡ってひたすら巻道を歩いていきます。
このコースはとにかく細かい登り下りが多い。
梯子で沢を通過します。
よくぞここに道を作りましたね、毎年整備が必要でしょう。
熊の沢出合付近で今日は泊まります。
黒部川のイワナは絶品です。
2日目。
本日が上の廊下の核心部を通過します。
朝の渡渉は勇気が要りますが気合いの通過です。
下の黒ビンガの岩壁の威容が黒部川へ来た思いを強くさせます。
古いクライマーはここまでのアプローチをこなし、ルートを拓いたとか。
恐れ入ります。
上の廊下の核心部といわれる口元ノタル。
暗いゴルジュを突破しなければなりません。
おとといまでの遡行者は皆、ここで敗退したとのことです。
しかし今日はそんなに迫力はなかった?
左岸へ渡渉し右壁にそって泳ぎ、岸にはいずりあがります。
その後、危ういクライムダウン。
流れに逆らって泳ぐのはかなり厳しいです。
体温がどんどん奪われていき、指先はしびれてきます。
必要なのは気合いと根性のみ!
左岸から右岸へまた、左岸へと渡渉を繰り返します。
流れの深いところはスクラムを組んで渡ります。チームワークが重要。
今回は5日間で大小含めおそらく100回くらい渡渉したでしょうか?
岸から岩魚が泳いでいるのがよく見えます。
これは跳ねて水しぶきがあがった瞬間。
たたずまいが只者ではありません。
往年の名クライマー。豊富な経験でリードしてくれます。
お見事!
どこまでも澄んだ碧い水。
赤木沢出合は奥の廊下の景勝地。このあたり、魚影も濃いぞ!
こんな贅沢はありません。
歩いていると足元に兎がいて水を飲んでいました。
驚いた兎はパニックになり、川を泳いで渡渉し、対岸へと逃げていきました。
兎の泳ぎを見たのは初めてです。
未だに大きなスノーブリッジがかかっています。
だんだん水量も減ってきました。
ようやくたどり着いた黒部川源流。
やさしい雰囲気に包まれた場所です。
黒部五郎岳のカールが見えています。
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