FrontPage/2010-10-15
Tag: 障子ヶ岳 大井沢 祝瓶山 紫ナデ 粟畑 朝日連峰 天狗角取山
茸と紅葉と障子ヶ岳
大井沢の民宿「さくお」の婆ちゃんに見送られ、
まだ明けやらぬ空の下、急な尾根を登る。
東の空が少しずつ明るくなり、やがて見上げる稜線を鮮やかに染めていく。
それまでモノトーンに見えていた森が色とりどりの色彩を帯びているのに気づいた。
「東北の紅葉は美しい。」
よく耳にする言葉だが、今こうして目前に見ていると疑う余地はない。
冬が始まる前のひと時、東北の秋はおしみなく輝きを放っている。
紫ナデのピークを望むようになると紅葉は最高潮を迎えた。
周囲の展望も開け、先月歩いた以東岳から大朝日岳へかけての稜線をのぞむようになる。
月山へ向けて伸びる稜線には大桧原山、赤見堂岳と魅力的な山が連なっている。
以東岳から北へ戸立山、茶畑山、芝倉山、葛城山、高安山と高度を落とさずに
延々と山並みが続く。
朝日連峰のなんと大きく奥深いことか。
我々が歩いているのは連峰のほんの一部にすぎない。
紫ナデ付近から望む堂々とした山容の障子ヶ岳。
その風格は南アルプスの高峰や越後三山にも劣らない。
これが1500mに満たない山であるとは…。
障子ヶ岳東面はスラブとなって谷底まで切れ落ちている。
大展望の障子ヶ岳の山頂を後にし、粟畑へ向かう。
草紅葉の美しい障子池から振り返ると均整のとれた三角形の山姿が美しい。
粟畑からの下りは急なところもなく紅葉を愛でながら歩く。
特に竜ヶ岳手前の尾根は両側がブナの並木となって気持ちの良いところだ。
百名山の喧騒をよそにここでは静かな山歩きが堪能できる。
山を標高や知名度だけで選んでいる方々にこういう味わい深い山歩きはできまい。
本当に贅沢な登山である。
宿へ帰ると2日続けて茸三昧の歓待。
10種類以上の茸と芋の子汁。
特に爺ちゃんが山から採ってきた天然まいたけは絶品であった。
採ってきた場所は婆ちゃんにも教えられないそうだ。
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