山岳ガイド 佐藤勇介のブログです。

FrontPage/2011-04-08

Top / FrontPage / 2011-04-08

Tag: 屋久島 花之江河 花之江河歩道 ヤクスギランド 石塚小屋 永田岳 永田歩道 石塚小屋 鹿ノ沢小屋 竹ノ辻 送陽邸 障子岳

屋久島大縦走

屋久島のマイナールートを探索してきました!

天気はまずまずでほとんど雨に降られることはありませんでしたが、
標高の高い山の上はまだ朝晩は寒く、残雪も豊富に残っていました。

                   行程は

                   1日目:羽田AP=鹿児島AP=鹿児島港=〈トッピー〉=宮之浦(民宿泊)
                   2日目:宮之浦=ヤクスギランド…〈花之江河歩道〉…大和杉…石塚小屋
                   3日目:石塚小屋…花之江河…黒味岳…宮之浦岳…永田岳…鹿ノ沢小屋
                   4日目:鹿ノ沢小屋…七つ渡し…桃平…岳ノ辻…永田橋…送陽邸
                   5日目:島内観光=安房港=鹿児島港=鹿児島空港=羽田空港
  

苔むす屋久杉
縦走初日はヤクスギランドから石塚小屋へ花之江河歩道を歩きます。

花之江河歩道は歩く人が少なく整備もあまりされていません。

赤布はついていますが、地形が複雑で倒木も道をふさいでいる個所が多いのでルートファインディングが必要です。

全体的にヤブっぽく、踏み跡は明瞭ですが腰をかがめて枝をくぐらなければならない箇所が多くあります。

それから所要時間が昭文社のエアリアマップでは5時間10くらいですが、実際は6時間30くらいかかります。

特にヤクスギランド⇒大和杉が2時間となっていますが、実際は3時間はかかるでしょう(普通の歩行スピードで)。

渡渉点は平水時は靴を濡らさずに渡れますが、増水時は渡渉は困難でしょう。
沢床が岩盤なのですぐに水位は上がると思われます。


石塚小屋は20名程度宿泊可能ですが、結構湿っぽい。夜はカワイイねずみが出没するので食糧に注意!

水場は花之江河方面に5分行けば大岩の下から出ています。

大和杉
縦走路からわずかに下った位置にある大和杉。
風格が漂う屋久杉です。

花之江河歩道
苔に覆われた杉の巨木が辺りに林立しています。

迷路のように複雑な地形が続き読図も難しいところ、赤布に助けられます。

小屋近くからは残雪が現れ始めました。

小屋に入るとあられが猛烈な勢いで降り出し、あっという間に地面が白くなりました。

屋久鹿
縦走2日目は宮之浦岳へ向かいます。

途中、立ち寄った黒味岳では屋久鹿の親子が出迎えてくれました。

永田岳
宮之浦岳へ着くとガスが晴れて目指す永田岳が姿を現しました。
山容としては屋久島の山の中でも一番秀麗な山ではないでしょうか?

画像の説明
永田岳山頂からは明日のゴール地点である永田浜を見下ろします。
はるか彼方にマリンブルーの海が見えます。 遠い…!

心地よい笹原
永田岳から鹿ノ沢小屋へ下ります。

東シナ海を見ながら気持ちの良い道です。

口永良部島が大きく見えます。

ここの下りは笹に隠れた落とし穴がたくさんあるので注意が必要です!
景色に見とれているとかなり危険。

ローソク岩
途中に見えるローソク岩。
この辺は関東にあったら小川山のように開拓されるのでしょうが、地理的な要因で原始の姿が保たれています。

障子岳
屋久島の岩峰・障子岳。本州でいうところの瑞牆山といえるでしょう。
ここにも気合の入ったクライマーがルートを切り拓いています。

東京に住むものにっとっては海外よりも遠いルートでしょう。

雪がいっぱい!
灌木帯へ入ると、豊富な残雪があり雪に倒されたシャクナゲが道をふさいでいます。
沢状にえぐれた道に積もった雪は小さなスノーブリッジを連続させていて、何度踏み抜いたことか…。

猛ヤブ&スノーブリッジの連続。今回で最も困難な個所でした。

ルートも不明瞭で道を探しながらの下降となりました。
ここでは普段から養っている野生の勘が頼りです。

たどり着いた鹿ノ沢小屋は静かな森にたたずむ別天地。

山に抱かれた良い小屋です。水場は近いがトイレは遠い。
今回は遠い上にヤブ漕ぎが必要!(雪が灌木を倒しているので)

雲に隠れているのが永田岳です
ゴールの永田橋から永田岳を見上げます。

昨日はあそこにいたなんて信じられません。


懸案の永田歩道は果たしてどうだったでしょうか?

ヤクスギランドの管理人や通りがかりの人々ほぼすべてにあそこはやめたほうがいい
とか雪がたくさん残っていて厳しい、なんて言われ続けましたがめげずに歩き通しました。

感想はすごくいい道。いろんな意味で…。

鹿ノ沢小屋から桃平までは残雪豊富でまたもやヤブ漕ぎ。ここで迷う人も多いかもしれません。

渡渉は今回は容易でしたが、当然増水時は無理でしょう。

永田歩道を登りにとる場合は最後のほうに渡渉点があり、引き返す時間もないのでリスクがあります。

その時は姥ヶ岩屋でビバークしましょう。快適な夜が約束されます。
水だけはどこかで確保する必要があります。

その先は多少ヤブが元気ですが、道はしっかりしています。赤布もうるさいくらいに豊富。

百名山ハンターには廃道に感じるかもしれませんが、
越後や会津、東北の山を闊歩している方々にはいたって普通の登山道といえるでしょう。

のっぽ屋久島初上陸

地形図とエアリアマップの地名に違いがありますが、土地の人に言わせるとどちらも間違っているそうです。

地名は気にせずに地形図の等高線を頼りに行ったほうがよいでしょう。


エアリアのコースタイムも間違いがあります。

岳ノ辻から永田歩道入口まで標高差1200m程度の下りに4時間30はかかりようがありません。
賢明な方なら行かずともわかることですが…。


それなりの登山経験を持っている方なら問題なく歩けますので、もっと歩かれていいルートだと思いました。

ただし夏はヒルがいるので避けられているのかもしれませんね。

登山初心者は当然、不可です。迷います。

コースタイムが長いので迷ったら即ビバークです。

ここでいうOKな人は地形図が読める。ヤブ山を歩いたことがある。
道標が皆無な山を歩ける。幕営装備を持って10時間くらい歩ける体力がある。
天候判断ができるなどの要素をもった方です。

永田浜
フィナーレは永田の美しい海が皆さんの縦走達成を祝福してくれるでしょう。

夜はもちろん三岳で乾杯しました!


コメント


認証コード(2341)

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional