FrontPage/2011-09-15
Tag: 2011 利根川本谷 9月 オイックイ シッケイガマワシ 佐市平
利根川本谷 遡行
「もうか」という言葉を知っているだろうか?
「猛火」ではない。
「猛蚊」と書く。
左足に20匹。右足に20匹。左手に10匹。右手に10匹。背中に30匹。頭に30匹。
常時まとわりついてくる。
夕方から明け方までずっと…。
焚き火のすぐそばでも…。
払っても逃げずに死んでいく…。
でもすぐ次の新手がやってくる。
寝袋の中にも奴らはやってくる。
寝ることは許してくれない。
頭からすっぽり寝袋をかぶり、口元だけ出してそこを網でカバーしてもわずかな隙間をついて侵入してくる。
耳元では常に「プ~ン」という甲高い音を立てている。夜通しだ。
我々にできるのは一刻も早くそこを立ち去ることだけであった。
これは水長沢出合においての一夜のことであった。
予定よりも1時間30ほど早く行動することになり出発する。
今日は昨日の夕方よりも目に見えて水量が減っているようだ。
「シッケイガマワシ」も太もも程度の深さで、水の中を歩いて行くことができる。
巻淵も泳ぐ必要はなかった。
井戸沢出合。
多くの岩が吐き出されたようだ。
剣ヶ倉土合のゴルジュも基本的にすべて水線にそって歩いて行ける。
有名な「ヒトマタギ」。
大河である利根川を文字通り一跨ぎできるところである。
ここまで来たものにしかできない偉業。
しばらく行くと崩壊した雪渓があらわれたが道をふさぐほどではない。
本谷の核心部「オイックイ」のスノーブリッジは崩壊しており困難はなく乗り越えることができた!
時期が時期なら数百メートルもあるスノーブリッジの下をくぐったり、越えたりしなければならない所である。
ゴルジュに引っかかった流木。
どれほどまでに増水したのか想像するだけで恐ろしい。
水流が宙を飛ぶ「ヒョングリの滝」。
だんだん滝もでてきた。
シャワークライミングも水量が少ないので余裕の突破!!
といってもそこそこ水圧はある。
この日は裏越後沢出合にて泊まる予定であったが、順調に進み過ぎて2日分歩き佐市平にて幕を張る。
泳ぎを交えて通過するはずの淵は埋まり歩きやすくなっていた。
困難な雪渓もなく順調に進んだ。
この夜は数匹の蚊が時折、来るだけで余裕の爆睡であった…。
これ以上の幸せがあろうか?
つづく・・・
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