FrontPage/2011-10-17
錫杖岳本峰
北アルプスの南西の端に位置する錫杖岳に登ってきました。
ここはクライマーの間では有名ですが、一般登山者にとっては北アルプスの中でも、
最も名前の売れていない山の一つです。
理由は、標高が2168mと周りの山と比べるとはるかに低いことと、
端にあるためその圧倒的な岩壁が隠れてしまっているからでしょう。
そして、錫杖岳の山頂へは整備された登山道がないというのが一番の理由だと思います。
錫杖岳へはまず槍見温泉から笠ヶ岳へのクリヤ谷登山道を登って行きます。
クリヤ谷の渡渉点を過ぎて1時間ほど登ると左手に錫杖沢が出合います。
踏み跡に従って、クライマーのテン場を過ぎるともう一度クリヤ谷を渡り、
錫杖沢へ入ります。
錫杖沢出合。
ここの紅葉はとにかく素晴らしかった…。
今シーズン一番のコントラストでした。今まで見た紅葉の中でも一、二を争う美しさ。
ここから錫杖沢を詰めていきます。
岩舎までは右岸の踏み跡を利用できます。岩舎への入口は見落としやすいので注意しましょう。
分県登山ガイドでは「岩舎で北沢を分けるので、左の沢へ入る」とありますが、これは間違い。
北沢はほとんど見分けがつかない感じで分かれていきますので。岩舎を左に見て、素直に錫杖沢を詰めていきます。
30分ほど登ると明瞭な二俣につきます。
右俣には赤ペンキでルートマークがついています。
右俣は難しい滝などはありませんが、上部で笹薮のトラバースなどがあり、ルートを失いやすいので注意。
不安な人は、左俣を詰めれば迷う心配はありません。
左俣はいくつか滝がありますが、それほど難しいものはありません。お助けロープも3つほど残置されています。
右・左ともに上部は笹が多くなってきます。
最終的に稜線へとでますが、右俣はすぐに錫杖岳本峰への取付き点へ、左俣は取付きの50mほど左側へとでます。
私のお勧めは左俣のピストンです。
稜線に出たら、本峰の登りになりますが、いくつか岩峰を巻いていきます。
基本的には左巻きです。
根っこをまたいだり、枝をくぐったりして行くと突然、本峰頂上へと飛び出します。
本峰頂上からの眺望は素晴らしいものがあります。
まず笠ヶ岳への稜線が目の前に続いています。
そして槍穂連峰がバランスよく連なっています。
眼下の烏帽子岩前衛フェースには左方カンテを登るクライマーの姿が見えました。
ちなみに黄色の塊は錫杖沢出合にあったテントです。
出合から一気に高度が上がっているのが分かります。
誰もいない山頂での憩。
眼下には紅葉の海。
風は爽やかで暑すぎず寒すぎず。
この時期、季節は目に見えて移ろっていきます。
錫杖岳は紅葉の名所でもありました。
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