FrontPage/2012-02-08
高見山
高見山は関西のマッターホルンと呼ばれる鋭い山容で、
冬には霧氷に覆われる山として関西屈指の名山と言われている。
前日まで紀伊半島では大雨で多いところでは150㎜もの雨量を観測した。
太平洋南岸を通過した低気圧は発達し、日本列島は強烈な冬型気圧配置に覆われた。
前日の高い気温から、一気に10℃以上も気温が下がり、山では強風が吹き荒れたのである。
台高山脈の北端に位置する高見山も山頂付近は一面の霧氷の世界となり、エビのしっぽが大きく形成されていた。
強い風は樹林の中では何とかしのげるが、顔の半分だけが痺れてくる。
樹林が途切れるところでは、容赦ない風が吹き抜ける。
1200m程度の低山であっても条件によっては本格的な冬山の様相を呈する。
ここ高見山はそのような条件になりやすいため、霧氷の名所として名高い。
今回はその霧氷が形成されていく、まさにその瞬間に歩くこととなった。
今日のような天候は想定の範囲内であったが、お客さんにとっては想定外であったかもしれない。
登れるか登れないかの瀬戸際。
天候と登る山のコース、難易度、避難小屋の有無、パーティーの装備、経験、体力、技術、モチベーション。
全ての様相を鑑みて最終的な判断を下さなければならない。
ときに非常に難しい判断に迫られるときもある。
大事なのは常に非常の事態を想定しておくこと、その中でできる範囲のことをチャレンジしていく。
そして、引き際の線引きを明確に持っておくことであろうか。
厳しい自然に対し人間の方が臨機応変に合わせていくことが登山である。
美しさと厳しさ、その両面を目の当たりにしながら山頂を目指す。
ちなみに霧氷とは、氷点下の環境で、空気中の過冷却水滴もしくは水蒸気が、
樹木その他の地物に衝突して凍結もしくは昇華することでできる、白色や無色透明の氷層の総称。
いわば自然現象としての着氷現象である。
裏を返せば霧氷ができるということは、気象条件が厳しい環境にあるということである。
今回、最終的に全員登頂し、予定通り下山することができた。
厳しさを乗り越えてこその達成感を味わっていただくことができたのではないだろうか?
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