FrontPage/2012-04-29
阿能川岳
「阿能川岳」と聞いてピンとくる人は少ないだろう。
整備された登山道はなく山容も凡庸である。
しかしそのロケーションは素晴らしく、雪を踏んで立つ山頂には登山本来の愉しみがつまっている。
場所は名峰・谷川岳から南へ派生する尾根のさらに支尾根に位置する。
こういうとさえない感じもするが、谷川岳から伸びる長大な山稜の一峰なのでそれ自体が、一つの名峰といえる。
取付きは仏峠。水上から猿ヶ京へ抜ける峠のトンネルからである。
普段はヤブに覆われている尾根を残雪を利用して登る。
この尾根を歩くには雪の状態をつかむのがカギである。
雪が少ないとヤブが立ちふさがり、雪の多い3月などは深雪に苦しめられる。
適度に雪が残り、且つしまって歩きやすい4月がベストコンディションといえよう。
それでもヤセ尾根上は雪解けが早く、ヤブ漕ぎを強いられる。
時に危うい雪庇に飛び移ったり、シャクナゲのヤブを漕いだり。
ルート取りが難しい。
非常に暑い日で東京では夏日となったようだ。
汗をかきかきのぼる。春の山。
前衛の三岩山が近くなると十分な雪があり、快適に歩くことができた。
ヤブから解放されよりいっそう心地よく感じる登り。
たどり着いた阿能川岳からは谷川岳、俎嵓山稜、小出俣山、上州武尊山、白砂山、苗場山などが眺められた。
陽光に照らされ、休憩もまったく寒くない。
こののどかさも春山の魅力。
「雪山は行ってみたいけど寒いのは苦手。」という軟弱者はまず残雪の春山からどうぞ!
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