山岳ガイド 佐藤勇介のブログです。

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Tag: 日光白根山 北西稜

日光白根山・北西稜


山を登る際に「登り方」というものがある。


一人で行くのか、大勢で行くのか。

夏に行くのか冬に行くのか。

直登するのか巻くのか。

尾根をたどるか沢を詰めるか。

酸素を使うのか使わないのか。


山登りにルールはない。

しかし、ただ登ればよいというものでもない。

より安全に、よりシンプルに、より快適に、より美しいラインをたどり、そしてより困難を乗り越えて。

そこに山登りの美学がある。


理想的な道筋・手段・スタイルをある人は「essential-line」と呼ぶ。


essential-line

今回登った日光白根山・北西稜はダイレクトに山頂に突き上げる最短登路であり、
なおかつ雪崩の危険などを避ける上ではベストなラインであった。

加えて上越国境の山々をバックに登るロケーションは抜群である。

essential-line

シラビソの森を抜けると白根山の頭が、垣間見える。
いつもは暗い針葉樹の森も、雪に覆われ底抜けに明るい。

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七色平の避難小屋は雪に埋もれようとしていた。
ここから北西稜へ取付く。

essential-line

はじめは締まった雪にアイゼンを利かせ快適な登行であったが、
傾斜が増すにつれて最中の中身はスカスカの雪となり、足を取られるようになった。

どっちに行けば、より沈まずに歩けるかと右往左往するが、期待が外れることも多い。

一度深みにはまればアリジゴクのように足を取られて、這い上がるのに体力を消耗する。

それでもダケカンバの林になるとしっかりと立ち込めて、高度を稼ぐことができた。

essential-line

広い尾根は強い風にさらされ雪はほとんど飛ばされてしまっている。
おかげで、ラッセルもなく歩くことができた。

凍りついたコケモモがびっしりと生えていた。

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振り返れば、尾瀬の燧ケ岳や至仏山。上越国境の平ヶ岳から谷川連峰。

遠く北アルプスや富士山まで遠望することができた。大きな菅沼は凍りついている。
贅沢な景色を背に抜けるような青空を目指す。

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登るにつれて岩稜帯となるが、とくに難しい部分はない。

脆い岩に注意を払って登る。

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無風快晴で快適な登り、こんな日に山頂に立てることに喜びを感じる。

懐かしの飯豊連峰も真っ白に連なっていた。

見渡す山々にそれぞれ思い出がある。思えばたくさん山に登ってきたな~。

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山頂手前には崩壊気味のナイフリッジがある。
慎重に行けば問題ないが、風にあおられるコンディションの日は怖いかもしれない。

多少のスリルを楽しむ余裕があるのは穏やかな気候のせいであろうか。

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日本においてこれより北にここより高い場所はない。

関東の王者として君臨するかのような堂々たる山頂であった。


苦しい登りと山頂での憩。どちらも山登りの素晴らしさ。

頬に当たる風は厳冬期のような厳しさはなく、山頂に吹く風はどこか春めいていた。


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