山岳ガイド 佐藤勇介のブログです。

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雄山東尾根

一目見て惚れ込んでしまうラインがそこにはあった…。

一昨年の黒部横断で黒部丸山中央山稜を登っているとき、
左に美しい稜線が雄山に向かって伸びていた。

その時、あの美しい尾根をたどってみたいと思った。


何の情報も持たず、ただ地図だけを携えてその場の判断で歩く。

そこに何があってどんな景色が広がっているか、自分の目で確かめたかったのだ。

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ケーブルを降りて、喧噪の黒部平を後にするとそこにいるのは山と私たちだけだった。

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快調に高度を稼ぐと眼下に黒部湖が見下ろせるようになる。

背後には後立山連峰が荒々しく屏風のように連なっている。

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ガイドブックもない未知のルートをたどる時は自ずと慎重にならざるを得ない。

そのピークの向こうに何が待っているのか分からないのだから。

危険な領域に踏み込んでからでは、後手に回る。先を呼んでの行動が必要。

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2700m付近のピークに達すると、2m先もわからないほどのホワイトアウト。

今日はここで、雪洞を掘ることとする。

豊富な雪を利用して、快適な宿を構築する。

雪洞ひとつとっても様々なテクニックやコツがあって奥が深い。

次第に吹雪はじめてきたが、土木作業で体は暑い。

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1時間30分ほどで快適な宿ができた。

雪洞の中は風もなく、非常に落ち着く。足も悠々延ばせてテントより広い。

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目を覚ますと、外は冷え込んでいて風が強く厳冬期の様相。

次第に赤く染まる空が、今日の好天を約束してくれているようだ。

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快適な雪洞を後にする。

雄山までは標高差で300m強と短いが、この先何が待っているかわからない。

時折、現れる岩場も念のためロープを出す。

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純白の尾根にトレースを刻む。

雪山は時に、人の目を狂わせる。

近くに見えるピークは果てしなく遠く、息は弾む。

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吹き上げる風が、頬に痛い。

春山とは思えない厳しさ。

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登る毎に視界が開けて、気持ちも高ぶってくる。

振り返ればそこにあるのは自分たちのトレースだけ。

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純白の薬師岳と黒部五郎岳。

先日の降雪で厳冬期そのものの姿。

美しく神々しい。

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雄山への最後の登り。

雄山山頂は室堂からの登山者が次々と登ってくる。

何か居心地の悪さを感じて足早に山頂を辞することにした。

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下降は登りの際に目をつけていた、下れそうなルンゼを降りた。

その時の雪質と傾斜をその場で判断して進むべき道を決める。


タンボ平に降り立つと、あとは黒部平目指してとぼとぼと歩くだけ。

時折、颯爽と追い越していくスキーヤーと上空を過ぎるロープウェイには少々腹が立ったが、いつもほどではなかった…。


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