FrontPage/2013-09-30
剱岳・八ツ峰上半縦走
山にも一目惚れというものがあるのだろう。
室堂から雷鳥坂を登り詰めると剱岳の雄姿が目に飛び込んでくる。
誰もが息を飲み、その瞬間心を奪われる。
中でも八ツ峰の稜線は異彩を放っている。
彼もまた魅せられ、熱い心を持ってここに帰ってきた。
星空の下、剱沢雪渓を下り長次郎谷に出会う頃ようやく東の空が明るんできた。
登り詰めるほどに八ツ峰の荒々しい岩峰が近づいてくる。
Ⅴ・Ⅵのコルにたどり着けば、いよいよ八ツ峰の岩稜歩きが始まる。
アルペンムード漂う稜線は日本離れした景観。
目指す剱岳本峰を仰いで思いを馳せる。
長い行程、雪渓歩き、岩登り、懸垂下降と登山の総合力を問われるルート。
八ツ峰の頭から越えてきた峰を振り返る。
まだ先は長い。
本峰を越えてからは流石に、緊張が解け疲労と相まって足取りが重い。
剱沢小屋に帰り着くとようやく今日一日の行程は終了だ。
約11時間30分の山旅は彼の思いに深く刻み込まれたであろう。
別山北尾根から振り返る剱岳は彼に何を語りかけるのだろう…。
立山は数日前より、より一層秋色を濃くしていた。
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