FrontPage/2014-04-30
ジャンダルム飛騨尾根
天を突く岩峰・ジャンダルムへ荒々しく突き上げる飛騨尾根は見るものに強い印象を刻みつける。
安曇節に「西へ西へと皆ゆきたがる、ジャンの飛騨尾根岩登り」という一節があるそうだ。
ここでは日本でも最高所におけるクライミングを楽しむことができる。
ジャンダルムを目指すにはやはり、新穂高から白出沢を詰めるのが理想的なラインであろう。
新穂高より林道をアプローチして白出沢へ入ると遥か頭上にジャンの頂がそびえたっている。
明確な目標地点をめざして一歩一歩足を進める。
大滝の手前より急な天狗沢へ入り200mほど登ったところで左のD尾根へと取り付く。
尾根は見た目以上に急傾斜でジャンを目指して高度をどんどん稼いでいく。
ダケカンバが途切れる辺り、標高2600m付近を今宵の宿りとする。
雪面を掘ると這い松が現れるので、横に穴を広げて入口をイグルーブロックで塞ぐ。
イグルー構築のコツもだんだんつかめてきて、前よりも美しい仕上がりに。
春の雪はくっつきやすくてすぐに安定してくれる。
雪洞のなかより夕暮れの空と笠ヶ岳を肴に酒を飲む。
至福のひととき。
翌朝、飛騨尾根へと取り付く。
通常はC尾根へとトラバースするようだが、我々はトラバースの中間にある小尾根を登り、
そのまま飛騨尾根と北西岩稜の中間のミックス壁へと取り付いた。
トラバースを交え、3ピッチほど登ると飛騨尾根のT3付近へと飛び出した。
飛騨尾根に他のパーティーの気配を感じて、窺うと知り合いのNケンであった。
飛騨尾根経験豊富な彼はルート取りも微塵の迷いなく、ガンガン登ってくる。
ラインはいかようにでもとれるが、すべてリッジ通しに行くのが面白いし快適である。
逆に弱点を突いていくと、面白い部分は通らずにジャンダルムとコブ尾根の頭のコルに導かれてしまうことになる。
岩峰を越えて振り返ると日本離れした景観が広がっていた。
名峰・笠ヶ岳をバックに快適な登攀。
登るにつれ北アルプスの山並みが広がっていく。
風も弱く、ポカポカ陽気で岩の多い部分は素手でこなす。
これぞ春山の醍醐味。
最後の岩峰を越えるとジャンダルムの頂は目前だ。
ロケーション・快適さ達成感、すべて三つ星の素晴らしいルートであった。
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