FrontPage/2014-05-29
相馬岳北稜
松井田妙義ICから横川駅へ向かう途中から見た相馬岳北稜は
長い尾根の間に幾つもの岩峰を連ね、怪しいまでにその姿を誇示していた。
尾根の末端から仕事道ともけもの道ともつかない踏み跡をたどり稜線へ上がると
鋏岩まで続く数々のピークを望むことができた。
歩きやすかった幅広い尾根は次第に痩せていき岩峰を越えたり、巻いたりしなければならなくなる。
何個目かの岩峰より懸垂下降でコルにたどり着くと、そこは岩と岩に挟まれた井戸の底のような場所だった。
このような場所は特異なものだが妙義においては珍しいものではない。
井戸の底から這いあがるように抜け出す。
妙義特有の凝灰角礫岩が快適なホールドを提供してくれる。
その後はやや高度感のある乾いた快適な20mほどの岩場のほかは概ね岩峰を巻くことが多かった。
もっとも兎に角、稜線に忠実に歩こうと思えば歩けたが、合理的なラインには思えなかったし、藪も多いようだった。
たどり着いた仙人窟はそれほど大きくない岩穴と庇状になって雨宿りができる岩屋がある。
音の響きから千人は入れるほどの大きな岩屋を想像していたが、実際は仙人が一人住めるようなところだった。
これより先は問題となるような場所はなく、新緑まぶしい尾根を登り詰めると馴染み深い相馬岳の山頂へ飛び出した。
春から夏に移ろうとしている妙義の主稜線は静けさをたもっていた。
下降は国民宿舎へと続く登山道を取ったが、あまり歩かれていない様子で藪化が進んでいる。
途中の岩屋は5~6人は泊まれそうで、窓や(岩の)テーブルなどもあってここに泊まりに来るだけでも十分楽しめるだろう。
この窓から望む相馬岳北稜の岩峰群は素晴らしい景観で妙義においても十指に入る奇景であろう。
泰然としていると私も岩の一部と同化しまった…。
以降は割合歩きやすい道となって思いのほか早く国民宿舎へと飛び出した。
正味、7時間ほどの軽いバリエーションルートであった。
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