FrontPage/2014-08-14
後立山連峰縦走
西日本に大きな被害をもたらした台風11号は去り、空はどこまでも澄みわたっていた。
北アルプス北部の白馬岳はお盆を迎えて、さぞや多くの人で賑わっていると思ったが、
意外にもすれ違う人も多くはなく山小屋もむしろ空いていると言えるほどだった。
山では子供連れの姿が目立ってなんとなく和やかなムードにさせられるが、
一方、子供自身にとってはどのような気持ちだろうかと思う。
幼稚園に通うような小さな子にとって北アルプスはどのように映るのだろうか?
稜線を歩いていると離れた草原に黒い物体が動いていると思ったら、
果たしてそれは熊であって、私が「ベアー!」と叫んだら退散した次第であった。
天狗の頭よりガラガラした大下りを下って不帰の険へと差し掛かる。
特にⅡ峰は険悪な岩場が立ちはだかり、一見どうやってこれを越えるのだろうと思われるが、
きちんと鎖が張り巡らされており少々拍子抜けするほどあっけなく此れを過ぎることとなる。
それでも白馬大池から長いこと歩いてきた脚は重く、さしたることのない登りであっても大きな障壁となり立ちはだかるのであった。
外観からは想像もつかない小奇麗な唐松山荘を発つ。
稜線を行く登山者はヘルメットを被っている人の方が多く、長野県の呼び掛けもそれなりに浸透しているようであった。
五竜岳を越えるとなお、気の抜けぬ岩場が続く。
午後から危ぶまれた天候も幸い持ちこたえてくれ、快適に歩みを進めることができた。
この稜線は常に右手に剱岳を望みながら歩くことができる。
三ノ窓雪渓が長く幕を引くように伸びていて、豊富な残雪に驚かされる。
キレット小屋でくつろいでいると、北方稜線の方角に一条の光が差して神々しい景観を見せてくれた。
キレット小屋を出るとすぐに八峰キレットへと差し掛かる。
朝一のまだほぐれない体でトラバースや梯子を慎重にこなす。
眼下には雲海が広がって、私たちの縦走のフィナーレを祝福するかのように朝日が輝いていた。
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