FrontPage/2014-12-05
鷹見岩
冬型の気圧配置がきまると好天となる八ヶ岳。
それでも寒気が南下して等高線がせばまるようなときは八ヶ岳も荒れる。
前日に通過した南岸低気圧は諏訪の郊外に雪をもたらし、その後マイナス36度の寒気を呼び込んだ。
目的の蓼科山は山頂を踏むことは適わないと見込んで、晴天の期待ができる甲州へ目先を変えた。
甲府まで南下すると雪を楽しむことはできない。
新雪を踏めて天候も良いところを見繕って瑞牆山周辺を選ぶに至った。
金山鉱泉までは積雪は皆無だったが、瑞牆山荘の駐車場へ着くと期待通り5センチほどの新雪が積もっていた。
大岩の間を縫って一汗かいたころに富士見平の小屋が現れる。
管理人が替わって幾らか垢抜けた感じのする小屋であるが人影はなかった。
金峰山方面へ足を向け、飯森山の南を巻くようになると鷹見岩への分岐が現れる。
縦走路から外れているため訪れる人の少ない場所であるが、地図に高展望の記載があり以前から気になっていたのだ。
シャクナゲの中につけられた道は倒木が煩わしいが、それも短い間で、一登りすると空が唐突に開け光あふれる世界へと導かれた。
そこはまさしく展望台と呼ぶべき場所で遮るもののない景色が広がっている。
全体が大岩で構成されているが、一つ一つはたいらで高度感はあるが落ち着いて休むことができる。
大ヤスリ岩を従えて異彩を放つ瑞牆山。
背後には今日一日姿を現すことのなかった八ヶ岳連峰が白い雪雲をまとっていた。
振り返ると金峰山が大きく、五丈岩が見え隠れしている。
空には吹き抜ける風の音が響くほどであったが、幸いシャクナゲが風を防いでくれてゆっくりと休むことができた。
富士はすっぽりと雲に覆われて裾野の一部を垣間見せるだけであった。
これほどの展望を楽しめる鷹見岩は知られざる名所といえるかもしれない。
次は秋に訪れて眼下に広がるカラマツの黄葉を望んでみたいと思った。
風に巻き上げられた雪に太陽の光がキラキラと反射して美しかった。
雪の造り出す一瞬の輝きに魅了される
吹き抜ける風は冬の訪れを確かに感じさせるものであった。
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