FrontPage/2015-02-20
石鎚山登拝
特急しおかぜに乗って穏やかな瀬戸内海を渡る。
やわらかな日差しに大小の島々が浮かんでいて、なんとんものんびりとした旅行気分。
今から雪山へ向かうとは到底思えないが、香川を過ぎて愛媛へ入ると見上げる山の上の方は白くて、どうやら霧氷がついているようだ。
どこか昭和の面影を残す石鎚山ロープウェイを降りると、まぎれもなくそこは雪山だった。
一夜の宿りとした白石旅館を発つとすぐに石鎚山遥拝門をくぐる。
周りの木々は一本残らず真っ白な霧氷をまとっている。
昨夜までは小雪がまっていたが、陽が昇るにつれガスは晴れて青空がのぞくようになった。
スカイブルーに霧氷の白さが一層際立つ。
気温が上がればすべて消えてしまう刹那的な美しさ。
徐々に現れる周りの山々に感嘆の声をあげる。
今この景色を目の当たりにしているのは私たちのほかにはいない。
登るにつれ雲海の上へと導かれる。
石鎚山系の雄峰が一つまた一つ現れる。
見返り峠では石鎚山と真正面から対峙する。
これから登る尾根は山頂に近づくにつれ次第に急峻になっていく。
夏には鎖場に行列ができるが、今の時期は巻き道を利用する。
巻き道といえども侮りがたいトラバースがまっていて緊張を強いられる。
新雪の下の古い雪の層は締まっておらず、いくらアイゼンをけり込んでもサラサラと崩れてしまう。
足元は谷底へと切れ落ちていて、山頂までは油断できない。
山頂へ飛び出すと社務所は真っ白に覆われていて、照りつける日差しが暖かかった。
大きな鎖が大岩にまかれていて、何か恐ろしげな様相を見せている。
古くから信仰されてきた石鎚山には多くの神様が住んでいるようだ。
聳えたつ天狗山まで足を延ばして西日本の最高点へと立つ。
西に目を向けると松山の町並みと豊後水道へと続く茫洋とした瀬戸内海。
東には遠く離れた剣山から三嶺にかけての稜線が青い空に大きな筆で一筋の白線を引いたように連なっていた。
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