山岳ガイド 佐藤勇介のブログです。

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ネコブ山


知る人ぞ知る秘峰・越後のネコブ山。

越後三山や巻機山といった大きな山々に埋もれるように在る山だ。


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昼近くまで降っていた雨をやり過ごし、のんびりと出発する。

ダムの湖岸をてくてくと。


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取り付きは発電所の導水管にそった階段を登る。


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とても厳しい登りだ。


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階段を登り切り、尾根道へ取り付く。

急峻な尾根には踏み跡が続いている。


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息があがるが足元には埋め尽くさんばかりのイワウチワが咲いている。


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尾根の勾配が緩むころ背後に大きな越後三山の姿が現れる。


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普段は雪で覆われているはずの尾根も藪が出ていて、1000mを越えるころようやく雪が現れ始めた。


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ひと登りして眺めの良いところに幕を張る。

慣れないテント生活に何をするにも一仕事の様子。


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翌朝、締まって歩き易い雪の上を行く。


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昨日の雨は稜線ではエビの尻尾を形成し、それは強風によって地面に敷き詰められたように広がっていた。

まるで砂糖菓子のようにキラキラと輝いて綺麗だった。


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下津川山まで日帰りするという3人連れのおじさんが足早に私たちを抜き去っていった。


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天気は快晴で風も弱く素晴らしい登山日和。


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桑ノ木山へと続く大らかな稜線は快適の一言。

険しい山々が連なる越後三山とは対照的に南アルプスを思わせる広く大きな景色が広がる。


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目指すネコブ山は惜しげもなくその巨大な図体をさらしていた。


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広大な桑ノ木山を過ぎてネコブ山への登りに差し掛かる。


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ところどころ雪庇の縁が大きく裂けて口を開けている。


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最後の急斜面を登り切り頂上台地に飛び出せばあとは快適な空中散歩となる。

周囲を取り巻く雄大な景色を堪能しながら一歩一歩踏みしめて歩く。


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本で出逢ったネコブ山に焦がれ、慣れない雪を踏んでたどり着いた頂。

辺りを取り巻く山々が彼女の訪れを祝福してくれているようだった。


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