FrontPage/2017-03-28
阿能川岳
夏場は見向きもされない藪山がこの時期輝きを放つ。
阿能川岳はまさにそんな山で周囲を取り巻く山岳の絶好の展望台となる。
しっかりついていたはずのトレースは南岸低気圧による降雪で跡形もなく消えていた。
代わりに水分を多く含んだ重い雪がたっぷりと尾根を覆っている。
大きな雪庇が立ちはだかるように進路をふさぐ。
雪庇を切りくずして越えていくのは一苦労。
いくつものピークを越えたり巻いたりしながら進むがなかなか先は見えない。
三ツ岩岳を越えるとようやく阿能川岳の伸びやかな山頂が顔を出した。
ようやくたどり着いたと喜ぶとその先にわずかに高い場所があってがっかりする。
あと一息と励ましながらも、重い雪が足にまとわりつき山頂が近づかない。
山頂直下にはこれまた巨大な雪庇が作り上げられていた。
たどり着いた山頂からは期待していた谷川岳の雄姿を望むことはかなわなかった。
代わりに小出俣山(おいずまたやま)が堂々たる風格で「我ここにあり」と主張している。
孤高の頂が数少ない来訪者を待ちわびているように見えた。
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