FrontPage/2011-01-08
SMOW PARADISE EPISODE.1 (厳冬期飯豊連峰縦走記)
静かな夜だった…。
いつも寒さに目が覚める雪山の天幕が今日はやけに暖かい。
おかげで朝までぐっすりと眠ることができた。
この分だと今日は天気も良く快適に高度を稼げるかもしれない。
そんな期待を持ちながら目覚まし時計を止めた後、しばらくまどろんでいた。
ふと昨夜と違う違和感を覚えた…。
やけにテントの中が狭いような気がする。
いや、確かに狭い。
内側に大きくたわんでいる。
手で押してみるとずっしりとした重みを感じ、すぐに押し返される。
あわてて天幕から顔を出そうとするも、入口も強く押さえつけられていた。
力を込めて押し返し何とか入口を開けると、どっと雪が崩れ落ちてきた。
這うように天幕を出ると、股のあたりまでもぐってしまう。
近くにさしておいたスコップも雪に埋もれ、探すのに一苦労である。
天幕は三分の二ほど埋まり、降り積もる雪は我々を完全にその下に沈めようとしていた。
静かで暖かいと感じていたのは厚い雪に覆われていたせいであった。
標高は約700m。
八ヶ岳などのパウダースノーなど比較にならない、
重く湿った雪が目に見えるほどの速度で降り積もっていく。
一晩で約40cmほどの積雪があった。
ここは豪雪で名高い飯豊連峰である。
(つづく…)
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