FrontPage/2011-01-10
SNOW PARADISE EPISODE.3 (厳冬期飯豊連峰縦走記)
目の前の雪の壁を両手で崩す、膝でそこに窪みをつける、足で2、3度踏み固める。
そこに立ち上がる。
目の前の雪の壁を両手で崩す、膝でそこに窪みをつける、足で2、3度踏み固める。
そこに立ち上がる。
目の前の雪の壁を両手で崩す、膝でそこに窪みをつける、足で2、3度踏み固める。
そこに立ち上がる・・・。
何度繰り返しただろうか?
自分の進んだ距離を確かめると、うんざりするほどわずかである。
重荷を背負ってラッセルするのはあまりに体力を消耗するので、次のように進む。
トップは空身で進路を切り開く、セカンドはそのあとを荷物を背負って追いかける。
しばらく登ったら、トップは自分の荷物を取りに引き返す。
セカンドは代わりに空身になり、トップを交代する。
そんなことを延々と繰り返しながら、じわりじわりと高度を稼いでいく。
標高200mを登るのに実に3時間以上を費やしている。
登山口の長者原の標高は300m。気温は0度前後である。
重く湿った雪から踏み込んだ脚を抜くのは容易ではない。
降りしきる雪は体に着くと水滴と変わり、衣服をぬらす。あるいは団子となってまとわりつく。
ザックを取りに帰るとすでに1cmほど雪が積もっていて、危うく見失いそうになる。わずか10分や15分の間にである。
入山初日は5時間ラッセルして、標高700m地点に幕営した。
2日目6:30出発。
昨夜の雪でさらに雪は深くなっていて早くも心が折れそうになる。
相棒が「長者原からお前の実家(山形県新庄市)までどれくらい?」と聞いてくる。
さりげない問いかけだが、「今から下山すれば今晩は暖かい布団で寝られる」という思惑がありありと伝わってくる。
チョコバーをかじり気を紛らわせて、何とか立ち上がり歩を進める。
6時間かけて1023mの西俣ノ峰へと達する。
ここからは風が吹き抜けるせいか、やや歩き易くなりペースが上がる。
といっても相変わらずトップは空身でラッセルし、道をつくっていく。
枯木ノ峰の手前で本日の行動は終了(15:00)。
つづく・・・
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