FrontPage/2012-12-24
黒部横断 2011‐2012 その1 扇沢~赤沢岳
かつて秘境と謳われた黒部峡谷も今では、ダムが建設され観光客が行きかい一大観光地となっている。
しかし、厳冬期においては今なお往時の静けさを保ち限られたものにしか訪れることを許さない。
今なお秘境と呼ぶに相応しい。
後立山を越え、黒部川を渡り、剣岳を越える。
「黒部横断」その響きが重くのしかかってくる。
出発は2011年12月23日。
食料と燃料は予備日を含め16日分を用意した。
80ℓのザックがはち切れんばかりに膨らんでいる。
これでも、極限まで切り詰めて荷物は削っているのだが。
扇沢まで7キロの道を冬季通行止めの日向山ゲートから歩く。
歩き出すとともに、雪が降り始めた。
林道歩きも重荷ではつらい。
扇沢から先は除雪もなくなり、ワカンにてラッセル。
初日は軽めにと思っていたが、目的地の屏風尾根まったんである大沢小屋までラッセルが深く、
18:30まで残業。テントを張る。
二日目。
赤沢岳屏風尾根をひたすらラッセルする。
雪が深く、二人が空身でトレースをつけてからでないと荷物を担いでは沈んで歩けない。
トップでラッセルしたら、自分の荷物を取りに戻り、再びその道を登り返す。
ヤブやシラビソが行く手を阻む。
予報に反しての好天。
1時間に100m足らずしか高度を稼げない。
背丈を越える雪にバンザイラッセルが続く。
屏風尾根2000m付近に幕営。
三日目は朝から快晴。
今日は赤沢岳を越えるので、絶好の天気となった。
あと少しと思われた稜線に出るまでもかなりてこずる。
今年の雪は降り始めからずーと降り続けたので、地面から表面まですべて新雪で締まり雪がない。
よって、どこまでもズブズブと沈んでしまう。
扇沢を眼下に見下ろす。
気持ちははやるが行程ははかどらない。
稜線へと飛び出した。
この人の行動食は一日あたりカキピー2袋!!
ようやくたどり着いた稜線から黒部湖を見下ろす。
これからあそこまで下降しなければならない…。
稜線は風が強いが、雪は飛ばされているのであっというまに赤沢岳へ達した。
ここまでも充実の登山といえるが、この先が核心部。
一度、入ったら容易に抜け出ることはかなわない。
つづく・・・
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